2026年9月5日(土)、6日(日)、富士スピードウェイにて、インタープロトシリーズ(Inter Proto Series)第3戦・第4戦が開催された。インタープロトシリーズは、「レースを、人が主役になる“スポーツ”に」をテーマに2013年からスタートしたワンメイクシリーズ。すべてのドライバーが、シリーズ専用に開発された同一性能のレーシングカー「kuruma」を使用し、ドライバーの技術や判断力、勝負どころでの勇気を競い合う。
5月に開催された開幕大会では、#88 佐々木大樹選手が第1戦・第2戦を連勝。昨シーズンのチャンピオンである#3 卜部和久選手がランキング2番手、#44 山下健太選手が3番手につけ、約4カ月のインターバルを経てシーズン第2大会を迎えた。土曜日の公式予選は曇り空ながらドライコンディション。一方、日曜日の決勝は雨と強い風に見舞われ、コース上の各所に水がたまる難しいウェットコンディションとなった。
■公式予選 卜部和久が1分45秒514でポールポジションを獲得
土曜日に行われた公式予選は、曇り・ドライコンディション。気温25度、路面温度は30度に届かず、タイヤのウォームアップが難しい状況となった。各車が十分にタイヤへ熱を入れてからアタックへ向かう中、早いタイミングで好タイムを記録したのが#3 卜部和久選手。6周目に1分45秒514をマークし、トップに立つ。
#44 山下健太選手が0.283秒差の1分45秒797で2番手。さらに、その山下選手からわずか0.006秒差となる1分45秒803で#16 ロニー・クインタレッリ選手が3番手に続いた。4番手には#96 阪口晴南選手、開幕2連勝中の#88 佐々木大樹選手は5番手。終盤はタイヤのグリップ低下やコースアウトも重なり、上位陣のタイム更新はならず、卜部選手が今シーズン初のポールポジションを獲得した。
■第3戦 卜部和久が山下健太の追撃を退け、今季初優勝
日曜日に行われた第3戦は、前日からコンディションが大きく変化。スタート前には強い風を伴った雨が降り、厳しいコンディションの中レースが行われた。
スタート前の気温は20.7度、路面温度は21.3度。コース上には複数の水の流れができており、GRコーナー先やコカ・コーラコーナー手前、100Rの進入と出口、300R付近ではハイドロプレーニングが起こりやすい状態となっていた。ポールポジションの卜部選手もグリッド上で「思ったより川が多く、ハイドロも起きている」と語るほどの難しいコンディション。安全を考慮し、第3戦はセーフティカースタートとなった。
セーフティカー先導で3周を消化し、残り時間8分50秒となった4周目からレースがスタート。隊列を率いる卜部選手はGR GTコーナーの立ち上がりから加速し、背後の山下選手にスリップストリームを使わせない巧みなリスタートを決める。山下選手、クインタレッリ選手、阪口晴南選手が続く一方、中団では激しい順位争いが始まった。6番手の#71 国本雄資選手が佐々木選手のインを狙い、10番手スタートの#32 小林利徠斗選手も#55 野尻智紀選手に並びかける。しかし、視界を遮る激しいウォータースクリーンと滑りやすい路面の中、各車とも最初の仕掛けではポジションを変えるまでには至らない。5周目、100RからADVANコーナーへ向けて野尻選手の背後につけた小林選手が、アウト側からブレーキング勝負を仕掛ける。ウェット路面でグリップの残るアウト側のラインを使い、そのまま野尻選手をオーバーテイク。直後には、#27 梅垣清選手もダンロップコーナーで野尻選手をかわし、ポジションを上げた。
上位では山下選手が卜部選手との差を詰め、テール・トゥ・ノーズの状態へ。3番手争いでは阪口晴南選手がクインタレッリ選手の背後に迫り、コカ・コーラコーナーでオーバーテイクを成功させた。その後方では、国本選手が100Rでスピン。コースへ復帰したものの順位を落とし、中団のオーダーが大きく入れ替わった。
勢いに乗る小林選手は、続く周回のGRコーナーで#37 牧野任祐選手のアウト側へ並び、そのままオーバーテイク。さらに、前を走る佐々木選手にも急接近すると、300Rでアウト側からサイド・バイ・サイドに持ち込み、ダンロップコーナーまでに前へ出た。わずかな周回の間に次々とライバルをかわした小林選手は、10番手スタートから上位へ進出。終盤には阪口晴南選手がピットへ入り、小林選手は4番手まで順位を上げた。
一方、トップ争いでは山下選手が最後まで卜部選手を追い続けたものの、卜部選手は一度も首位を譲らない。雨によって短縮された7周のレースを走り切り、山下選手に0.917秒差をつけて今シーズン初優勝を飾った。2位に山下選手、3位にはクインタレッリ選手が入り、10番手スタートの小林選手が4位、5位に佐々木選手、6位に牧野選手、7位にはインタープロト初参戦の梅垣選手が続いた。

■第4戦 第3戦に続き、卜部和久が連勝を飾る
第3戦終了後、各車はホームストレート上に停止し、短いインターバルを挟んで第4戦のスタート進行へ。第3戦の結果がそのまま第4戦のグリッド順となり、卜部選手が再びポールポジション、山下選手が2番手、クインタレッリ選手が3番手、小林選手が4番手に並んだ。
雨は降り続き、第4戦もセーフティカースタート。第3戦でピットへ入った阪口晴南選手と国本選手は出走できず、10台によるレースとなった。セーフティカー先導で2周を終え、残り7周となった3周目にレース再開。卜部選手は再び後続との間合いを読みながら加速し、山下選手を抑えてGRコーナーへ向かった。5番手の佐々木選手に対しては、牧野選手がGRコーナーのイン側へ飛び込む。両者はコカ・コーラコーナーまで並んだが、佐々木選手がポジションを守った。その背後では梅垣選手が野尻選手を抑え、前方の争いへ加わっていく。
第3戦で怒濤の追い上げを見せた小林選手は、第4戦でも積極的な走りを披露。3周目、300Rでクインタレッリ選手のアウト側へマシンを振り、ダンロップコーナーのブレーキングで前へ出る。これで小林選手が3番手へ浮上した。4周目には、2番手の山下選手を射程圏内に捉えた小林選手がGRコーナーでオーバーテイクを狙う。しかし、ブレーキングで行き場を失う形となり、両車は接触。小林選手はコース外へ飛び出してガードレールにクラッシュし、ここでレースを終えることとなった。このアクシデントによりクインタレッリ選手が3番手へ戻り、梅垣選手が4番手、佐々木選手が5番手に浮上。コース上にストップした小林選手のマシンを回収するため、5周目にセーフティカーが導入された。
レースはセーフティカー先導のまま周回を重ね、残り2周となった8周目に再開。第3戦とは加速のタイミングを変えた卜部選手は、最終コーナー手前から後続の意表を突くリスタートを決め、山下選手の追撃を封じる。その後方ではクインタレッリ選手と梅垣選手が接近。300Rで速さを見せる梅垣選手が背後まで迫ったが、クインタレッリ選手もハイドロプレーニングに耐えながら3番手を守る。
ファイナルラップでは山下選手、クインタレッリ選手、梅垣選手の3台が僅差で連なった。コカ・コーラコーナーから100Rにかけて各車が水に乗り、マシンが大きく姿勢を乱す場面もあったが、山下選手は2番手を死守。クインタレッリ選手も300Rでペースを上げ、山下選手へ接近する。最終セクターでもトップ4台の緊張感ある攻防が続いたが、卜部選手は最後までミスを見せずトップチェッカー。ポールポジションから一度も首位を譲ることなく、第3戦に続く連勝を飾った。2位は卜部選手から1.830秒差で山下選手。クインタレッリ選手が山下選手からわずか0.256秒差の3位に入り、梅垣選手はインタープロト初参戦ながら4位を獲得した。5位に佐々木選手、6位に牧野選手、7位に野尻選手が続いた。
優勝した卜部選手はレース後、山下選手がセクター3で速かったことから、リスタートの加速位置を変えて自らギャップを作ったと説明。また、先頭を走ることで最も多くの水を受け、何度もハイドロプレーニングでコースアウトしそうになったと振り返り、「すごく神経を使ったレースだった」と語った。
ドライコンディションの公式予選から一転、強い雨と風、ウォータースクリーン、そしてハイドロプレーニングとの戦いとなった決勝日。卜部選手がポールポジション獲得から第3戦・第4戦を連勝し、ランキング首位へ浮上した。
連勝を飾ったディフェンディングチャンピオンの#3 卜部和久選手(INGING MOTORSPORT) ポイントランキングもトップに浮上。
2戦連続2位表彰台を獲得した#44 山下 健太選手(NAVUL)。ランキングも2位に浮上し、首位の卜部選手を追う。
開幕戦決勝はGenクラスの車両トラブルにより出場が叶わなかった#16 ロニー クインタレッリ選手(TOMEI SPORTS)は2戦連続3位表彰台を獲得
■次回大会は10月31日・11月1日に富士スピードウェイで開催
次回のインタープロトシリーズは、2026年10月31日(土)〜11月1日(日)、富士スピードウェイで開催されるRound 5 & 6。今大会で2連勝を飾った卜部選手がランキング首位に立ち、56ポイントの佐々木選手、55ポイントの山下選手が追う展開となった。卜部選手が昨シーズンに続くシリーズチャンピオンを獲得するのか。それとも佐々木選手や山下選手が逆転するのか。シーズンを締めくくる最終大会では、タイトルを懸けたトップドライバーたちの真剣勝負に注目が集まる。
インタープロトシリーズ オフィシャルサイト
https://interprotoseries.jp/
Round.3/Round.4 公式予選 中継動画
https://www.youtube.com/watch?v=TPFTrQntr6o&t
Round.3/Round.4 決勝レース 中継動画
https://www.youtube.com/watch?v=7dOROzupqko&t

