前回、Vol.1ではレーシングシミュレーターのビルダーが手がけるシミュレーターについて取り上げたが、今回は自作のシミュレーターについてご紹介したい。紹介するのは、筆者が自宅に構築したシミュレーター環境。制作コストや構築環境についてご紹介する。(金額は購入当時の概算税込み金額)
■ゲーム環境
1.デスクトップPC:240,000円
主要スペック(主用部品のみご紹介)
・CPU:AMD Ryzen 7 5700X
・メインメモリ:CORSAIR VENGEANCE RGB PRO Series DDR4 32GB×2
・SSD:MSI M.2 SSD SPATIUM M371シリーズ 1TB
・グラフィックボード:msi GEFORCE RTX 4070 SUPER
・ケース CORSAIR 3500X RS-R ARGB
・主なプレイ環境:F1 25/iRacing/Assetto Corsa
2.プレイステーション5:66,960円
・主なプレイ環境:グランツーリスモ7

<考察>
PCケースはコルセア社 3500Xシリーズ。ピラーレスデザインでガラスパネルの造形の美しさに魅了され、迷わず選択。メインメモリ、RGBの冷却ファンやCPUの簡易水冷クーラーいずれもコルセア社のアイテムをチョイスし統一感を高めた。コルセア社のiCUE LINKシステムによりPCパーツ同士を簡単に接続できる他、配線周りを綺麗に収納できるのもコルセア社製品の特徴である。グラフィックボードはトリプルモニター且つ高画質でF1 25をプレイすると稀に映像の遅延などもある為、予算がある方はより高スペックなグラフィックボードの導入をオススメしたい。またグランツーリスモ7は現状3画面には対応していない点も注意が必要だ。PCゲームはSteamなどダウンロード販売・配信プラットフォームで有料で購入できる。
■モニター
LG UltraGear 31.5インチ WQHD(1000R)×3:99,000円

<考察>
構築初期は55インチのTV画面でプレイしていたが、視野角を広げ臨場感を増すためにトリプルモニター(モニターの3画面化) 環境を構築。没入感を高めるため1000Rと湾曲が高く、WQHD画質の出力が可能なLG社の31.5型をチョイスした。
■ステアリング・ペダル
・ステアリング:Pokornyi Engineering F1 Pro / FANATEC ClubSport Formula Wheel
・ホイールベース:FANATEC ClubSport DD+
・ペダル:FANATEC CSL Pedals + Load Cell Kit
合計:330,000円

<考察>
ステアリング周りを検討する上で駆動部分となるホイールベースは、ギアドライブ式、ベルトドライブ式、ダイレクトドライブ式の3種類が考えられる。筆者はまず低コストで導入可能なギアドライブ式を購入し、その後、モーターの回転軸に直接ステアリングが取り付けられたダイレクトドライブ式へアップデートした。ダイレクトドライブ方式はパワートルクを好みの値に調整ができるため、より高負荷でリアルな環境を再現するのに適している点が最大の特徴だ。またFANATEC ClubSport DD+は、プレイステーションとPCに対応している点も選定理由の一つ。ダイレクトドライブ方式はステアリングの交換が可能な為、フォーミュラタイプやツーリングカータイプなど乗車車両によってステアリングをチョイスできるのも魅力的。筆者は液晶モニター付きのPokornyi Engineering F1 ProとClubSport Formula Wheelの2つのフォーミュラタイプのステアリングを併用。(FANATECでサードパーティ製のステアリングを使用する場合は専用ハブ、液晶モニターの動作にはアプリケーションが別途必要)。ペダルに関しては、ブレーキペダルをロードセルモデルにアップデートしたことで没入感、精度が上がった一方、予算が許す方はアクセルペダルを含め、振動モーターや磁気センサーが付いたより上位モデルの導入をおすすめしたい。
■コクピット環境
・MISUMI アルムフレーム40×80mm ブラック
・DRJ フルバケットシート SP-G / シートレール
合計:105,000円

<考察>
構築初期はハンコン一式を折りたたみ式のコクピットに取り付け使用していたが、MISUMI社のアルミフレーム筐体設計ソフトを活用し、自身の身長に合わせオリジナルのアルミフレームを製作。自宅での設置スペースを少しでもコンパクトにするため小さく設計したところ、やや窮屈な作りになってしまった為、ゆとりのある寸法で製作されることを推奨したい。またトリプルモニターの実現にはモニターアームや連結の為のステーが必要であり、モニター間の隙間が無いよう角度調整が肝となり、Rの強いモニターを設置するのは至難の業である。尚、アルミフレームのコクピットやトリプルモニター用のスタンドは、複数のメーカーより完成品も発売されている為、予算・設置スペース等に応じて選択いただきたい。
自宅シミュレーター環境構築 総合計:840,960円
自作での構築はやはり予算に応じ、パーツやマテリアルをアップデートできる点が最大の魅力である。自作だからこそ、マテリアルをアップデートした際は、走行感の高まりを実感できる。まずは少額からスタートし徐々にアップデートを図り、本格的なシミュレーター環境を構築することでeスポーツの参戦においても戦闘力が増すだけでなく、実際のサーキット走行の走行感に近づけることができるだろう。購入タイミングとしては、ブラックフライデーセールやホリデーセールなどセール時期を狙うと導入費用を圧縮することができる。
自作という言葉の通り、筆者はPCも組み上げ品でなくPCを自作した為、PCの組み立てが不安の方は完成品のPCを購入するのも選択肢の一つ。コクピットにPC、アルミフレームに筆者自身のシミュレーター環境もまだまだ今後アップデートを図りつつ、将来的には大手ビルダーのオリジナルシミュレーターの導入も含め今後もシミュレーターライフを楽しんでいくつもりである。
今回、2回に渡りレーシングシミュレーターについて取り上げたが、これから自宅にシミュレーター環境を構築してみたいと計画されているドライバーやホビーユースの方のシミュレーター環境構築において、当記事が少しでもお役に立ちましたら嬉しく思います。

