女性だけのレースシリーズKYOJO CUP。ル・マン24時間レースにおける日本人初の優勝ドライバーである関谷正徳氏による2017年のシリーズ発足以来、多くの名勝負・名バトルが生まれ、現在SUPER GTや海外でも活躍する小山美姫選手もチャンピオンを獲得した選手権シリーズ。そのKYOJO CUPは今年新型車両としてFormulaカーを導入し、レースフォーマットも大幅刷新。これまでの予選・決勝を1dayで行なう方式から土曜日に予選(タイムトライアル)と10周の「KYOJO Sprint(スプリントレース)」、そして日曜日に12周の「KYOJO Final(レース)」を行なうフォーマットへと改められた。またTOYOTA、HONDAの自動車メーカーによる強力なサポート体制が敷かれた他、5大会中2大会がSUPER FORMULAと同時開催とこれまでにも増してモータースポーツ業界関係者やファンの注目が集まる大会となった。
今年度のKYOJO CUPも2024年KYOJO CUPチャンピオンの斎藤愛未選手(BigBoss W TOM’S KYOJO with AIWIN KC-MG01)や同じく2022年KYOJO CUPチャンピオンの翁長実希選手(Kids com KDDP KC-MG01)を始め、若手からベテラン、そして海外で活躍するドライバーを含む総勢20名による熱き戦いが繰り広げられた。
多くの実力者が顔を揃えた中、今シーズン光り輝く走りを魅せたのが下野璃央選手(Dr.Dry with Team IMPUL KC-MG01)だ。
レースキャリア14年となる下野選手は小学校5年生で初めてカートと出会い、中学生になると本格的にレース活動を開始し、2018年にはフェスティカサーキット瑞浪で開催されたミッション付きカートレースのKZクラスにてシリーズチャンピオンを獲得。四輪カテゴリーのステップアップ後もスーパーFJでも勝利を重ね、FIA-F4選手権にも複数年に渡って参戦し、シングルフィニッシュも果たした実力者である。
そんな下野選手は今シーズン全5大会で行われるKYOJO CUPのRD.4にて見事今シーズンFinal 3勝目(Sprint3勝)を獲得し、シリーズチャンピオンを獲得した。そんな下野選手にRACING-DRIVER.JPは喜びの声、今シーズンRD.4までの振り返り、そして自身のこれからのレースキャリアにおける夢やステップアップを目指し奮闘するジュニアドライバーへのメッセージをお聞きしました。
−チャンピオンを獲得した今の想い
下野璃央選手(以下、下野選手):シーズン開幕前の目標にしていたチャンピオンの獲得を優勝で決めることができて嬉しいです。最終戦は少し気楽にいけると思うので、しっかりと勝ってシーズンを終えれるように頑張ります。
−タイトル獲得のターニングポイント
下野選手:前回の第3大会で翁長選手とのポイント差が開いたのでそこは大きかったと思います。
−これまでのフォーミュラカテゴリーの経験は活きたか
下野選手:序盤戦は経験が活きて、ぶっちぎることができたのですが、大会を重ねるごとに周りのドライバーもどんどん速くなってコンマ1、2の差になってきて一発のタイムでは負けてしまいそうなのですが、レースでは負けない自信もあるし、レースペースにも自信があるし、安定感という意味ではこれまでの経験もあって一番だと思っています。
FIA-F4選手権でも活躍する下野選手。フォーミュラカテゴリーでの経験がフォーミュラカテゴリーとなった今年のKYOJO CUPでも随所で光っていた
−これから挑戦したいこと、夢
下野選手:目標にしているのはSUPER GTへの出場です。フォーミュラでももっと速いカテゴリーに挑戦したいと思っています。
−下野選手やKYOJOドライバーに憧れて奮闘する未来の女性KYOJOドライバーへのアドバイス
下野選手:まずは楽しんでレースをすること。目の前のことだけに一生懸命になり過ぎない事。そして何事も焦らないこと、落ち着いて取り組むこと、そして何より大事なことは周りをリスペクトすることです。
KYOJO CUP 創設者 関谷正徳氏と並びチャンピオンボードを手にする下野選手
可愛らしいネイルがアイコンの下野選手。日々のトレーニングも欠かさない下野選手のストイックさがレース前の表情にも現れている
ヘルメットを被りレースに臨む下野選手はいつも鋭い眼差しが印象的だが、我々メディアへのインタビューでは軟らかい表情、笑顔も印象的な下野選手。
今シーズンは特にレース序盤のコールドタイヤのウォームアップ、レース序盤からのレースペースの強さが印象的だった下野選手。下野選手本人も語った通り、長年のフォーミュラでの経験が大きく活きた形ではないだろうか。
勝負強い走りに加え、常にチームスタッフや関係者、そして共に出場するKYOJO CUPのドライバーへの気遣いや思いやりに溢れる姿を筆者も今シーズン幾度となく見てきた。今シーズンKYOJO CUP最終戦(11月8日-9日開催)そして、これからの下野選手の活躍にぜひご注目の上、熱いエールをお願いします。
下野 璃央選手RACING-DRIVER.JP オフィシャルページ
https://www.racing-driver.jp/rio-shimono/