2025年7月21日(日)、東京お台場のシティサーキット東京ベイにて全日本カート選手権EV部門のRound3、4が開催された。文字通り、国内最高峰の大会として全日本選手権のタイトルが掛けられた大会であるのはもちろん、注目すべきポイントは動力がいわゆるレーシングカートで一般的な2st(ツーストローク)や4st(フォーストローク)といったガソリンエンジンでなく、EV(電気)を動力としている点。
静音性に優れる点から都心での開催も可能となり、今年度より会場がシティサーキット東京ベイのみで全8戦が開催されることとなり、周囲には商業施設や東京テレポート駅、青海駅からも徒歩圏内ということで大会当日は多くのギャラリーや関係者が集い、大会への注目度の高さが表れていた。参戦ドライバーは10代前半から30代まで全12名。ドライバーは狭きオーディションを勝ち抜き、スーパーGTやSUPER FORMULAにも参戦するトップチームなどがドラフトにて選手を指名し、トップカテゴリーでもお馴染みのカラーリングが施されたマシンを疾走するなんとも豪華なレースだ。
開幕ラウンドのRound.1、2では三村壮太郎選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)が連勝を飾る中、この第2ラウンドに向け各ドライバーの仕上がりや勢力図の変化に注目が集まった。
迎えたレース当日、雲一つない快晴。気温は35度、風もなく非常に暑さの厳しいコンディションで行なわれた。
このEV部門は1dayで決勝レースが2戦行なわれるレースフォーマットで前大会まではタイムトライアルの結果を経て、上位の6台、下位の6台にグループ分けされ、それぞれに決勝レースが行われるフォーマットであったが今大会から変更。全12台がグループ分けされず、一度に走行する形に変更となり、タイムトライアルの後に予選ヒートが設けられ、その後決勝を1日に2セット行われることに。会場に詰めかけた多くのギャラリーは12台による熱き戦いに釘付けとなった。
タイムトライアルは、1台ずつ2周のタイムトライアルを行ないベストタイムがRound.3、セカンドベストタイムがRound.4の予選ヒートに採用され、それぞれのグリッドポジションが決まる。タイムトライアルの結果、両レースともポールポジションは、寺島知毅選手(T2×HIGHSPEED Étoile Racing)が獲得した。
Round.3
予選ヒートは上位2台はタイムトライアルから変わらず寺島選手、三村選手のトップ2。その後方には徳岡大凱選手(PONOS NAKAJIMA RACING EV Kart Team)、中井陽斗選手(REALIZE KONDO EV Kart Racing Team)がそれぞれポジションを上げ、決勝レースを3位、4位からスタートすることになった。
25周で行われたRound.3ホールショットを奪ったのは寺島選手。それを三村選手が追う展開に。
後方は中井陽斗選手、豊島里空斗選手((T2×HIGHSPEED Étoile Racing))がそれぞれポジションを上げ3位争いを展開し、オープニングラップで豊島選手が3位に浮上するも5周目の2コーナーで再び中井陽斗選手が3位にポジションを戻す。
上位2台は1秒未満で先頭の寺島選手を三村選手が追うもオーバーテイクには至らず。その中、3位争いが激化。中井陽斗選手の後方に徳岡選手が迫り、24周目の3コーナーで徳岡選手が3位に浮上。レースは寺島選手がEV部門初表彰台を見事初優勝で飾り、2位に三村選手。3位には徳岡選手が入ったがペナルティによりと3位は中井陽斗選手という結果になった。
Round.3 優勝 寺島知毅選手(T2×HIGHSPEED Étoile Racing)
寺島選手 RD.3レース後コメント「1度も追い抜かれず勝つことが出来て良かった。ミスせずにRD.4も勝ち切りたい」
Round.3 2位 三村壮太郎選手(ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL)
Round.3 3位 中井陽斗選手(REALIZE KONDO EV Kart Racing Team)
Round.4
迎えたRound.4 予選でも寺島選手がトップでRound.4のポールポジションを決め、2番手には中井陽斗選手、3番手には徳岡選手がポジションを上げた。Round.3と同じく25周で争われたRound.4決勝レース。ホールショットを奪ったのは寺島選手。2番手、3番手はそれぞれ中井陽斗選手、徳岡選手がポジションをキープ。
序盤から寺島選手は他を圧倒するスピードでレースをリードする。トラブルによりフルコースイエローとなり11周目にレースは再開。18周目、接近戦が続いていた2位争いは2コーナーで徳岡選手が中井陽斗選手をオーバーテイク。そのまま徳岡選手はリードを保ちポジションをキープ。
レースは寺島選手が優勝。2位に徳岡選手、3位に中井陽斗選手となった。
Round.4 優勝 寺島知毅選手(T2×HIGHSPEED Étoile Racing)
寺島選手 RD.4レース後コメント「1体重を6kg絞って挑んだことが効いて、1度も抜かれずに連勝することができて本当に良かった。次戦もしっかりとキープしてしっかり勝利に繋げたい」
Round.4 2位 徳岡大凱選手(PONOS NAKAJIMA RACING EV Kart Team)
Round.4 3位 中井陽斗選手(REALIZE KONDO EV Kart Racing Team)
片岡龍也氏によるドライバー育成講習
レース終了後には参加ドライバー12名を対象としたスーパーGT300クラスなど国内トップカテゴリーで現役のドライバーとして活躍する傍ら、スーパーフォーミュラのKDDI TGMGP TGR-DCを始めとしたチーム監督そしてTGR-DC Racing Schoolの校長を務める片岡龍也氏によるドライバー育成講習が開催された。
講習では、多くのレース関係者が集まる中での限られたチャンスを掴むことの重要性やいかに関係者に対して印象強いレースを披露できるか、そしてレーサーになりたいという強い意志を持って努力を怠らず、誰よりもストイックに継続することができるかなどレーサーを志す上で大切な心得などが語られた。「全てを犠牲にしてでもレーサーになりたいという気持ちを持てるか。24時間の内、睡眠時間以外をトレーニングやシミュレーターなどレースに対して全ての自分の時間が使えるか、そして大会の主催者やオフィシャル、メカニックや家族など自分を支えてくれる方々への感謝の気持ちを持ってレースに取り組むことへの大切さ」などが語られると参加した選手は熱心に片岡氏からの話に耳を傾けていた。最後には1人1人自身のレーススタイルや今後の意気込みや講習への感想などがシェアされ、ドライバーも多くの気づきと学びに満ちた表情が印象的だった。
次戦Round5、6は9月14日に開催。残り2大会、4レースを残し熾烈なタイトル争いに注目が集まります。ぜひ現地にて選手へ熱いエールをお願いします。
全日本カート選手権EV部門 公式ホームページ
https://kart-ev-div.city-kart.jp/
全日本カート選手権EV部門 レース映像
https://www.youtube.com/watch?v=x9ce-Asqf8Y
シティサーキット東京ベイ
https://city-circuit.com/
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